ベルギーからの客人

ベルギーから客人がやってきた。

名前は、フレディ(Freddy)&アナリース(Annelies)、30歳のカップルである。

旅行人向けのサイトで知り合った人々である。

延岡からバスでやってくるという彼らを、レッスンの合間の時間に迎えに行った。

駅に着いて、車を降りると、遠くから大きなバックパックを背負った白人二人組がこちらに手を振っている。

初めて会ったわけだが、私も笑顔で手を振り返しながら、

「あーちょっとこの人こわそう。。」

と思った。

女のほうのアナリースは、普通の感じだが、フレディは、すごくでっかくて、長髪で、ひげがもじゃもじゃで、おなかがたぷたぷで、たばこをすいながら歩いてきた。

「夕方のこどもコースのレッスンに参加してもらおうと思ったが、これはこどもたちが怖がるから無理だな・・」

と、思いながら、

「Nice to meet you!」
と、笑顔で握手。

でっかい二人とでっかいバックパックを、あたしの小さな車に押し込んで、教室まで案内する。

こわもてのFreddyは、とてもフレンドリーでおしゃべりで、車の中では、自分たちの旅行の日程を話してくれた。

彼らは、ベルギーから電車で日本まで来ていたびっくり
今回の旅は、3ヶ月のバケーションであり、日程は

電車で

ベルギー
ドイツ
ポーランド
ロシア
モンゴル
中国

そしてフェリーに乗って
日本の大阪に着き

奈良
広島
徳島
延岡

そして、本日 鹿児島

すごいなー
ヨーロッパ人。
まず、3ヶ月バケーションが取れるシステムがうらやましいし、こわもてのFreddyは公務員で、12年間付き合ってるアナリースとは、いろんなところに旅行をしているらしい。

そんな話をしている間に、10分ほどで教室に到着。

海外らのお客さんがきたときは、私はいつも教室に泊まってもらう事にしている。

教室は、お湯も出ないし、壁も薄いし、生活をするには不便がたくさんあるが、海外からの客はたいてい何泊もするので、お互いにプライベートな空間があったほうが、気持ちよく過ごせる。

そんなわけで、二人を教室に案内し、近くにあるコンビニだとか、布団のある場所だとか、基本情報を教え、レッスンだからごめんね、と言って二人を追い出す。

二人は、近くの川沿いを散歩すると言って、出て行った。

レッスン前に、小学2年生の男の子が電車好きだったのを思い出し、ホワイトボードの下にある巨大バックパックを指差して、

「ねぇねぇ、あのバッグね、ベルギーから来た人たちのかばんなんだけど、日本まで電車で来たんだって」

と言ったら、

「へー!僕、飛行機が大嫌いだから、電車でいけるなんていいね!」

と言っていた。

うむ、確かに。
ヨーロッパに電車で行くなんて、日本人なら考えもしないもんね。

夜は、うちに呼んで、ディナー。
忙しかったから、昨日の残りのカレーで悪いねーと思っていたが、

「Delicious!!」

と喜んでくれてよかったなー。

娘は、いつもどおり、初めはとても恥ずかしがっていたが、こわもてFreddyはとてもフレンドリーで、

みんなでゲームをしたり、

パペットで遊んだり、

PCで英語のゲームをしたり、

している間にだんだん慣れていって、

二人の間に入り込んだり、

しまいには、Freddyのひざの上でダンスをしたりなどしたりしていた。

私たちは、彼らにとって、旅人サイトを通して知り合った5番目のところらしい。

ポーランド、ロシア、中国でも、こうやって、それぞれ地元人たちの所に泊まったと言っていた。

ホテル代もかからないし、なんと言っても、やっぱり地元の人と話をして、その国や地域の文化を知るって、面白い。

彼らの労働時間は、きっと、普通の日本人の会社員の3分の2から半分くらいだから、その分旅行をしたり、趣味をしたり、といろんなことができる。

うちにパパがいないのが不思議だろうと思って、

「日本人の男の人は、いつも帰りが遅いんだよ」

と言うと、

「That sucks.」(それは大変だね)

とFreddyが言っていた。
ヨーロッパでは女の人も普通に働く代わりに、男の人も普通に早く帰ってくる。

夏は、夏時間というシステムがあるから、時計を一時間早くして、10時くらいまで明るいから、仕事が終わった後は、二人でいろんなことを一緒にするって言ってた。

って、こんなヨーロッパ人の話をまじめに聞いてると、

「あたしたち、日本人って・・」

って、なんだか悲しくなってきてしまうから、別世界のことだと思ってわりきって聞かなきゃね。

まぁ、もちろん、その背景にはものすごい高い税金とか、経済状況とか、いろいろあるんだけどね。

この二人は、17歳のときから付き合っていて、一緒に住んでいるが、結婚はしていないと言う。

「ねぇ、どうして結婚しないの?」

と聞くと、

「んーいい質問だね。んーー、どうしてって言われてもねぇ・・
僕たちの周りは、結婚してないカップルのほうがうまくいってるよ。僕たちは子供はほしいと思ってないから、結婚する必要はないな。」

だって。

ふーん、なかなかナイスアイディアなのかもしれないね。

確かに、結婚してないと、お互いにほどよい緊張感があっていいのかもね。
ヨーロッパでは、こういう結婚しないカップルはとても多くて、子供を生んでいるカップルもたくさんいる。

日本には、こういう考えはほとんど根付いてないから、とてもおもしろいなーと思った。

私がベルギーやフランスに住んでいたら、どういう選択をするんだろう。

そんなこんな、いろんなことを思いながら、彼らとの会話を楽しんだ一日目の夜であった。

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