うちの夫は、よく本を読む。
朝、ソファでごろごろしていたら、ふと目についた夫の本。
『朝にキク言葉』 ひすいこたろう
その中の、とても心に残ったところを紹介します。
ピアニスト・辻井伸行さんのメロディーはどうしてこんなにも美しいのだろう・・
過去のインタビュー映像を見ていたら、その答えを12歳だった頃の辻井伸行くんが教えてくれていました。
「がんばってくださいと(ピアノに)言ってキモチを込めるとすごく美しい音が出ます。」
2009年6月8日、アメリカのヴァン・クライバーン国際コンクールで、日本人初の優勝という快挙を成し遂げた辻井伸行さん(当時20歳)。
目が見えない、全盲で生まれた伸行さんを支え続けてきたのはお母さんのいつ子さんです。伸行さんは生まれつき音に敏感で掃除機や洗濯機の音にも泣き叫ぶほど反応した。全盲のわが子の行く末に不安を募らせ、本当につらかった時期もあったそうです。
ひと筋の光が差したのは、伸行さんが2歳のとき。
いつ子さんが夕食の支度をしながら、ジングルベルのメロディーを口ずさんでいたところ、どこからか、その歌声に合わせてピアノの音が響いてきた。
それは、伸行さんの一歳の誕生日にプレゼントしたおもちゃのピアノの音でした。弾いていたのは2歳のわが子。
ひとつでも好きなものを見つけられたということで、いい方向に向かい始めた。ここから18年間、親子の音楽の旅が始まりました。
中略
彼のお父さんが、以前、伸行さんが言った言葉を教えてくれました。
「ボクは目が見えなくてもいいんだけど、もし一日だけ目が見えるなら・・お母さんの顔を見たい」
見たいよね。見たいよね。この世に生み出してくれて、20年以上ずっと支えてくれたお母さんの顔、見たいよね。
大好きな人の顔を見ることができる幸せ、そこに僕らも気づかなければいけないと思いました。
今日は大好きな人に会いにいこう。