最近、よくいい曲を聴くせいか、よく酒を飲むせいか、よく夜更かしをするせいか、ちょっとおセンチな気分になることが多く、5年前の地球一周の旅をよく思い出す。
あのころのエピソードをいくつか書こうと思う。
おばちゃんエクササイズ エアロビ
船内生活二十日たったある日、いつものように十時にエアロビの適当インストラクターとして、スポーツバーに行った。
エアロビとは、あたしの中であまりかっこいいものではない。おばちゃん用エクササイズのようなイメージがいまだにとれない。
しかし、みのるさんにインストラクターをしてくれないかと頼まれ、健康的だしいっか、と軽く引き受け、以後毎日三十分やっている。
まあ、教えることは好きというか、得意なので、結構自分でも楽しんで、柄でもなく、「はーい、右行きますよ、右ぃ~」と、元気よくマーチをしている。始めの頃はみんな驚くほどできずに、ずっと「右、右、はい右」と言い続け、声がかれた。
参加している人は七割が年配のおばちゃん。
おじちゃんも一割くらいいる。
外国人もいる。これまたこの外国人のおっちゃんがでかい。一番後ろで毎日エクササイズしている。日本語がぜんぜんわからないらしく、あたしが右と言っても、ぜんぜん右をむかない。
みんなが動き始めて一テンポしてから動く。
男の人はリズム感がない人が多いが、彼はぜんぜんない。いまだボックススッテプができない。
あたしはみんなを見回すふりをして、いつも彼のステップをチェックする。むむ、なぜ、こんなに繰り返しているのにこのたった四ステップのボックスができないか。
一回足をクロスするだけなのに。。
まあ、あんまりむきになることはない。百日たって彼がボックスができるようになればいいや、と軽くいく。
エアロビが終って、関西の若者集団が、「な、エアロビ楽しいやろ」と、言っていた。
ちょっとうれしい。
あたしも同感する。エアロビって、若者にとっては聞こえは悪いが、やると楽しい。めちゃめちゃ汗をかく。すごく健康的だし、気持ちよくなる。
今日もいっぱい汗をかき、部屋を出ようとしたところで、一人のおばあちゃんがいたので、「お疲れさまでした」と声をかけた。
今まで一度もこのおばあちゃんに気付いたことはなかった。でかいぶきっちょな外国人と違い、狭い部屋の中でもあまり目立たない。
そんな小さいおばあちゃんが、「年寄りにはちょっとハードねー」と微笑みながら話し掛けてきた。あたしは、「あ、ちょっと飛ばしすぎたかな」と心の中でちょっと反省しつつ、「マイペースでいきましょう」と返すと、
「やっぱり体を動かすのは気持ちいいね。いつも気持ちいいをありがとう。ありがとうね。」
と笑顔で言い残し、反対方向に歩いていった。
この「気持ちいいをありがとう」は、クールなあたしの心にがつんと響き、効いた。
おばあちゃんに言われたからなのか、仕事ではないことで言われたからなのか、それはよく自分ではわからない。
やっぱり日本にちょっと帰りたいなーとちらちらと思っているあたしへ、とてもうれしいご褒美だった。

