地球一周クルーズ「ピースボート」回想録 素敵なうそ

船の中の最年少は1歳、最年長は93歳。
最年少の少年、1歳のりゅうちゃんは、ママとおばあちゃんと3人で乗船している。

昨日の夜12時頃、いいアイディアがひらめいたのでパソコンでまとめていると、りゅうちゃんのおばあちゃんがやってきた。りゅうちゃんが泣いて目が覚めたので、散歩をしているということだった。

おばあちゃんといっても、1歳児のおばあちゃんなんだから、私の母くらいの年齢だろうと思われる。りゅうちゃんは、ママではなくおばあちゃんに似ていた。目がくりっとした、なんとも優しげな話し方をする、とてもかわいらしい人。

りゅうちゃんファミリーとは、りゅうちゃんと遊んだり、ツアーが一緒だったりしたこともあって、結構仲良くしてもらっていた。パソコンの前に座ったりゅうちゃんのおばあちゃんは、いつものようににこにこと話し始めた。

りゅうちゃんのおばあちゃんは、3年前にご主人が亡くなった。
あたしが推定するに、50代で亡くなったんだろうと思う。
早い死だ。
りゅうちゃんのママは、その3年前に、まだりゅうちゃんが生まれる前にこの船に乗る予定で、お金も払っていたらしい。
しかしお父さんの具合が悪くなり、そのときは断念。そして、今、りゅうちゃんを連れて世界を周っているというわけなのだ。

その亡くなっただんなさんのことを、りゅうちゃんのおばあちゃんは、世界一の人だと言って何度も涙ぐむ。

「だめだ」と言われたことは一度もなかったんだそうだ。

子供が手を離れ、東京から熊本に転勤になり、友達がいなくて暇だったので、仕事をしようとにっせいのおばちゃんになりたいと言ったときも、いいんじゃない?と一言だったらしい。

こんなにだんなさんのことを愛してるとか、世界一だとか言う人はいないと、周りの人に言われていたんだそうだ。

おばあちゃんは、本人いわく、何も気がつかない、ぽーとした人らしい。そして、だんなさんがポットのお湯をいつも足してくれ、いつも満タンで暖かいお湯が飲めていた、とうれしそうに涙目で語る。

「あたしは、いいお母さんじゃなかった。子育てには失敗したと思ってるから。でも、いい奥さんだったと主人は思ってくれてると思うの。いつもだんなさんが帰ってきたときは、笑顔で迎えたもの。疲れてても、いやなことがあっても、だんなさんは笑顔で迎えるの。きついときは、その後に、実は今日ちょっと疲れてるんだけどって言えばいいのよ。後はね、上手にうそをつくことよ。何か大きなものを買ったら家族みんなのために買ったって言えばいいのよ。自分が欲しかったものでもね。家計簿もつけてなくても、大体はつけてるって言いなさいって娘にも言ってるの。」

昨日の楽器の演奏会で、司会者が聞き間違え、8歳から習っている琴を、「3歳からずっとされているそうです。すごいですね。」と言われ、いろんな人にすごいすごい、とほめられ、これはちょっとした詐欺罪だなと思っていたが、これも神様がくれた素敵なうそのひとつかなと思い、とてもいい気分で過ごせた昨日だった。

演奏会で。
実は、琴ひくんです。
意外でしょ??

りゅうちゃんとマサイ族

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