私が南アフリカに学校を建てたい理由
それは、5年前、地球一周をしたときにそう思った。
旅の後で、仲間と一緒に自費出版した本の中に書いた、南アフリカで思ったこと。
ミラクル・南アフリカ
南アフリカのことはほとんど知らなかった。アパルトヘイトを教科書で習ったのは遠い昔のことで、ほとんど記憶になかった。知識がなかっただけ、予想外だらけの旅だった。
港はまるでテーマパークだった。あまりにもきれいで、作り物に見えるほどの建物。あー涼しいなというくらい気候。海沿いのカフェで2回目のブレックファーストとしてフレッシュジュースとマフィンを食べていると、あざらしが一匹近づいてくる。あまりにもできすぎているシチュエーションだ。
これが南アフリカ?アフリカといえば、暑い、広い、動物、陽気な人々。。ではないのか?南という言葉がついてるだけで、こんなに予想を裏切られていいのか?なんとも不思議な気持ちで港を出た。
町へ歩いて向かったが、高層ビル、ショッピングモール、あげくのはてにBMWのショールーム。
むむ、ここが南アフリカか。あたしの地元よりぜんぜん都会だ。おいしそうなレストランを探そうと歩いたのだが、ビルひとつひとつが巨大すぎて、レストランを探すなど無理。タクシーに乗ることにする。
レッドマンというタクシードライバーのおっちゃんは、すごくいい人だった。
南アフリカは肉と魚がおいしいと、そんなグルメな情報だけは仕入れていたので、ここら辺で一番おいしいレストランに連れて行ってくれと頼んだ。
レッドマンは海沿いのとても素敵な小さいレストランに連れて行ってくれた。出てきたシーフードを見て、わお!うまい!南アフリカ最高!!

南アフリカで有名なテーブルマウンテンへ登山に出発。
テーブルマウンテンは、ケープタウンの象徴とも言える山で、頂上がすぱっと切り落とされテーブルのように平らになっている。山の中腹までレッドマンが連れて行ってくれて、さあ、ここから登るんだよ、と、登り口を教えてくれた。
登っていくにつれ、海のブルーと、町のオレンジと、山肌のグレーが3方向から攻めてくる。大自然に囲まれると、どうして人間はほっとするんだろう。見たことのない、何万年も前から生えてそうな植物と、見たことのない、真っ黒な虫と、大きな大きな山の中を歩いている小さい私。一緒の空間を過ごすとは、ミラクルだ。そうだ、この旅はミラクルだ。そうだ、こんな旅をしているあたしはミラクルだ。野生の鳥に餌付けまでして、自分に酔いしれた3時間ほどのハイキング。

そして次はこの旅のビッグイベント、地元のフェスティバルに参加し、ダンスを踊る!というやつが待っていた。
大体、船の旅っていうやつは、のろい。時速30キロで地球一周しようっていうんだから、原チャリで旅行しているようなものなのだ。いつまでたっても次の国につかない。南アフリカに来るのだって、ケニアから一週間かかった。
その間、船で何をしているかというと、あたしはずっとダンスをしていたのだ。ダンスが好きだから、暇だから、運動不足解消に、色んな理由があったが、一番の目的は、行った国で踊る!ってこと。
その気持ちから、船が揺れまくり船酔いした日も、激風の中吹き飛ばされそうになった日も、こんなにダンスばっかりやっていいのか?と疑問に思った日も、ダンスをしてきた。夜12時まで練習した日も何度もあった。練習がきつくて部屋の子に愚痴を言っていた日もあった。
それでもがんばってきたのは、仲間ができたことと、訪れた国で踊りたいという気持ちがあったからだ。それを今日披露する。
わくわくだった。
フェスティバルの会場は、CASTLEという本当にお城のような建物の中庭だった。
地元の人たちが焼いているホットドッグのいいにおいがする。
子供達がバク転を競い始めた。俺のほうがうまい、俺のほうがうまい、とばかりたくさん集まってきてはやってみせる。むこうの女の子たちは流れている音楽に合わせて踊っている。ものすごく運動能力が高く、ものすごくリズム感がいい。
一緒に写真を取ろうかというと、自分も取ってくれとどんどん集まってくる。

デジカメの小さい画像に集まり、自分がどのように取れているかを見て喜ぶ。衣装を着るためにトイレに行くと、女の子たちがあたしが手伝ってあげると、髪をとかし、衣装の布を安全ピンで留めてくれる。
外ではフェスティバルが始まっており、南アフリカの3姉妹のグループが、いすに座りギターをひきながら歌を歌っていた。ゆっくりとしたサウンド、アコースティックギターの透明な音、3人のコーラス。そうだ、あたしも昔仲間にギターをひいてもらい歌を歌っていた。音楽ってすばらしい。透明なその音楽と、自分が南アフリカにいるということと、子供たちの無邪気さと、色んなものが交じり合って、感動してちょっぴり涙が出た。
出番は8時だった。日も暮れてきてステージがライトアップされる。和柄の衣装を着て気持ちがぴんと張り詰める。
姫神の曲に合わせて踊るダンスのテーマは“PEACE”、「平和」だ。
大きな夜空に向かって手をあげたとき、なんともいえない気持ちで心がいっぱいになった。
感動、自信、感謝、充実、どの言葉がぴったりなんだろう。至福の一瞬だ。ひとつ階段を上った。できる、なんでもできる。
願えば叶う。力は限りない。
南アフリカで踊ったという経験は、あたしを無限なミラクルなものにした。
2日目は、黒人居住区のタウンシップへの半日ツアーに参加した。
高層ビルを通り、テーブルマウンテンを通り過ぎ、1時間ほどしたところにその光景は広がっていた。
こんなにひどい、古い、せまい、汚い、家を今まで見たことはなかった。ここに本当に人が住んでいるのか。そんな家がびっしりとずっとずっと続いていた。
学校に行くと言われて、バンが止まった場所には、学校らしき建物はない。電車の廃棄コンテナが5つくらいと、家のような小屋のようなものが並んでいる。
ここから歩いていくのかなと思っていたら、そのコンテナが学校だった。一つのコンテナは幼稚園、一つは小学校低学年、一つは高学年、最後は中学校。40人くらいの子供たちがコンテナの中にびっしりといる。
みんなにこにこ。来てくれてありがとうと、この学校を作ったという女の校長先生に言われた。
それぞれの子供たちが歌や踊りを披露してくれた。
一人一人の子供が出せるだけの声を出し、その40人分の声がハーモニーを作り出し、力強い、美しさに圧倒された。
どうしてこの子達はこんなところに住んでいるんだろう。
どうしてこの子達はこんなにぼろぼろの服を着ているんだろう。
どうしてこの子達はこんなに力強い歌がうたえるんだろう。
どうしてこの子達はこんなに笑ってられるんだろう。
どうして私はこんなに涙が出てくるんだろう。
親は失業している。
トイレも風呂もない。
エイズに感染している子供が6割いる。
そんな中、食べ物のない子供のために料理を作っているローズさん。
現状を知ってもらおうと、タウンシップの中に部屋が2つしかない小さな小さなホテルを経営しているベッキーさん。
そんな人たちもいる。
来てくれてありがとう。
来てくれてありがとう。
何度も言われた。
カメラを向けると子供たちは寄って来る。自分を撮ってくれ、撮って世界の色んな人に見せてくれ、と。
路上で昨日のフェスティバルに来ていた少年に会った。彼はここに住んでいた。昨日おなかがすいたからハンバーガーを買ってくれと、ずっとねばっていた理由がわかった。
おなかがすいたというのは、あたしたちが言うおなかがすいたとはぜんぜん違う。家に帰っても食べるものがないのだ。だから3回もねだったのだ。あたしが買った後、ありがとうと言って家族のほうに走っていき、家に帰っていった。彼の家はここにあったのだ。
親は仕事がない、食べ物もない、何もない、トタンでできた小屋に住んでいるのだ。昨日一緒に肩を組んで写真を取った彼はそんな少年だった。
彼もエイズに感染しているのかもしれない。
でも笑ってる。
この国の人はみんな笑っていて、みんな親切だった。
バンに乗って帰っている間、自分がこれからどうすればいいのかを考えた。
世界平和、人類みな平等、そんな言葉を知っていたって、願っていたって、何もしなければ何も変わらない。
ケニアでは象の里親になったが、象よりまずは人間でしょ。
南アフリカで訪れた小学校に、毎年寄付をしよう。彼等の歌声が入ったCDを買ってきたが、あれをもっと売る方法はないか。
カリスマ主婦になって、雑誌に載り、本を出し、もっと日本のみんなにあの子達のことを知ってもらって、みんなでちょっとずつ寄付金を集めて送ろう。
夢はどんどんふくらんでいく。
あたしもどんどんふくらんでいく。
ビバ!南アフリカ!!
んーなかなか現実は思うように進まないけれど・・
現在の活動
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